竹チップの作り方は難しい?自作方法や活用術を幅広く調査!

近年、日本各地で里山の荒廃が深刻な問題となっており、その中でも特に「放置竹林」の拡大は喫緊の課題として取り上げられています。かつては建築資材や農具、生活用品として重宝された竹ですが、プラスチック製品の普及や安価な輸入タケノコの台頭により国内での需要が激減しました。その結果、管理されなくなった竹林が周囲の森林や農地を侵食し、土砂災害のリスクを高めたり、生態系を崩したりする「竹害」が広がっています。しかし、この厄介者扱いされている竹も、見方を変えれば無尽蔵に再生する貴重なバイオマス資源です。そこで注目されているのが、伐採した竹を細かく粉砕して作る「竹チップ」です。

竹チップは、土壌改良材やマルチング材、さらには発酵させて堆肥にするなど、農業や園芸の分野で極めて高い利用価値を持っています。また、雑草対策としての防草シート代わりや、遊歩道の舗装材、キャンプ場の地面材としても人気が高まっています。このように多様な用途がある竹チップですが、ホームセンターなどで購入すると意外とコストがかかるため、「自分で作れないだろうか」と考える人が増えています。竹林を所有している人や、地域の環境保全活動に参加している人にとって、竹チップの自作は竹の処理と資材の確保を一挙に解決する素晴らしい手段となり得ます。

本記事では、竹チップを自分で作るための具体的な方法や手順、必要な道具について幅広く調査し、初心者でも失敗しないためのポイントを詳しく解説していきます。竹の切り出しから粉砕、そして用途に合わせた加工まで、竹チップ作りの全貌を明らかにしていきましょう。

初心者でも実践できる竹チップの作り方と必要な道具

竹チップを自作するためには、単に竹を細かくすれば良いというわけではなく、適切な時期に伐採し、目的に応じたサイズや形状に加工する必要があります。また、竹は繊維が非常に強靭であるため、通常の木材チップを作るよりも難易度が高い側面があります。ここでは、竹チップ作りの基本的なプロセスである伐採、乾燥、粉砕といった各工程における重要なポイントと、効率的に作業を進めるために必要な道具について詳しく解説します。

竹チップの品質を左右する伐採時期と竹の選定

竹チップ作りは、竹を伐採するところから始まりますが、実は「いつ切るか」がチップの品質やその後の加工のしやすさに大きく影響します。一般的に、竹の伐採に最も適しているのは晩秋から冬にかけての時期、具体的には11月から2月頃と言われています。この時期の竹は成長が止まり、活動が休止しているため、竹の内部に含まれる水分や養分(デンプン質)が少なくなっています。これを「竹の旬が良い」や「水揚げが止まっている」と表現します。

水分や養分が少ない時期に伐採することには、いくつかの大きなメリットがあります。第一に、水分が少ないため乾燥しやすく、カビの発生を抑えることができます。第二に、デンプン質が少ないため、虫食いの被害に遭いにくくなります。竹の大敵であるチビタケナガシンクイムシなどの害虫は、竹のデンプン質を好んで寄ってきますが、冬場の竹はそのリスクを低減できます。長期保存を目的とした資材用チップを作る場合は、この冬場の伐採が必須条件となります。一方で、発酵させて堆肥(竹パウダー)を作ることを目的とする場合は、あえて水分や糖分が多い春から夏にかけての竹を利用することもありますが、腐敗の進行も早いため、伐採後は速やかにチップ化し、発酵プロセスへ移行する必要があります。

竹の選定においては、生えている竹の種類と樹齢を見極めることも重要です。日本国内で主に見られるのは孟宗竹(モウソウチク)、真竹(マダケ)、淡竹(ハチク)の3種類ですが、竹チップとして利用されるのは肉厚で繊維量の多い孟宗竹が一般的です。また、今年生えてきたばかりの「新竹」は水分が多く柔らかいため粉砕しやすいですが、乾燥させると体積が大幅に減ります。逆に3年以上経過した「古竹」は非常に硬く、粉砕機の刃を傷める可能性がありますが、繊維がしっかりしており、舗装材などには適しています。一般的には2年から3年目の竹が加工しやすく、利用価値も高いとされています。

効率的な作業のための前処理と枝払いの手順

伐採した竹をそのまま粉砕機にかけることはできません。多くの粉砕機には投入口のサイズ制限があり、また枝がついたままでは投入口で詰まってしまう原因となるからです。そのため、竹を倒した後は、適切な長さに切り揃える「玉切り」と、枝を落とす「枝払い」の作業が必要になります。この前処理を丁寧に行うかどうかが、その後の粉砕作業の効率を劇的に変えます。

まず枝払いですが、竹の枝は非常に弾力があり、ナタやノコギリで切り落とす際には跳ね返りに注意が必要です。チェーンソーを使って伐採と同時に枝を払う方法もありますが、慣れていないとチェーンが外れたり、キックバックが起きたりする危険性があるため、慎重な操作が求められます。枝の付け根から綺麗に切り落とすことで、粉砕機への投入がスムーズになります。なお、切り落とした枝葉もまた、細かく砕くことで良質な肥料やマルチング材になるため、幹とは分けて集めておくと良いでしょう。葉の部分は分解が早く、即効性のある肥料分となります。

次に玉切りですが、使用する粉砕機の仕様に合わせて長さを調整します。大型のチッパーであれば数メートルの長さでも投入できますが、家庭用の小型ガーデンシュレッダーなどの場合は、50センチメートルから1メートル程度に切断する必要がある場合もあります。また、竹の中に溜まった雨水や汚れを取り除くために、縦に割ってから投入する機種もあります。竹を縦に割るには「竹割り器」という道具を使うと便利ですが、大量に処理する場合は重労働となるため、そのまま投入できる粉砕機を選ぶのが賢明です。この段階で、泥や石が付着していると粉砕機の刃を著しく摩耗させるため、地面を引きずった竹は泥を落としておく等の配慮も、機械を長持ちさせるための重要なポイントです。

手作業での粉砕の限界と小規模な作り方の工夫

「機械を使わずに手作業で竹チップを作りたい」と考える人もいるかもしれません。初期投資を抑えられる点は魅力ですが、現実的には竹の繊維は非常に強靭であり、手作業での粉砕は極めて過酷な重労働となります。ナタやオノを使って竹を細かく刻むことは可能ですが、均一な大きさのチップを作ることは難しく、時間もかかります。もし手作業で行うのであれば、用途を限定する必要があります。

例えば、プランターの底石代わりや、小規模な家庭菜園の通路に敷く程度であれば、ナタで数センチメートル角に割る程度の粗いチップでも十分機能します。この場合、まず竹を節ごとに輪切りにし、それをナタで縦に割っていく方法が安全で効率的です。さらに細かくしたい場合は、金槌で叩いて繊維をほぐすという方法もありますが、大量生産には向きません。

少し道具を工夫する方法として、押し切り機(藁切り)を使用する方法があります。テコの原理を利用して刃を押し下げることで、ナタよりも少ない力で竹を切断できます。ただし、乾燥して硬くなった竹は刃が立たないことがあるため、伐採直後の青竹の状態(生木)で処理するのが鉄則です。手作業での竹チップ作りは、あくまで趣味の範囲やごく小規模な利用にとどめ、畑全体に撒くような量が必要な場合は、後述する専用の機械導入やレンタルを検討することを強く推奨します。労力対効果を考えると、機械化は避けて通れない道と言えるでしょう。

本格的な竹チップ作り専用粉砕機の選び方

大量の竹チップを効率的かつ安定して生産するためには、竹に対応した粉砕機(チッパー、シュレッダー)の導入が不可欠です。しかし、木材用の粉砕機なら何でも良いというわけではありません。竹は繊維が長く絡まりやすいため、木材専用の粉砕機に竹を入れると、排出ダクトやドラム部分で繊維が詰まり、故障の原因となることが多々あります。「竹対応」を明記している機種を選ぶことが最大のポイントです。

粉砕機を選ぶ際の基準としては、まず「処理能力(最大処理径)」が挙げられます。直径10センチメートル以上の太い孟宗竹を処理したい場合は、エンジン式の強力な粉砕機が必要です。電動式の小型機ではパワー不足で止まってしまうことが多いため、本格的な竹林整備に使うなら間違いなくエンジン式が推奨されます。次に「刃の構造」です。竹を細かく粉状(パウダー状)にしたいのか、ある程度の大きさのチップ状にしたいのかによって適した刃が異なります。パウダー状にするにはハンマーナイフ式や微粉砕機が必要ですが、チップ状で良ければチッパーナイフ式が一般的です。

また、「送り込み機能(送りローラー)」の有無も重要です。竹を投入口に入れると自動的に内部へ引き込んでくれる機能があれば、作業者の負担は大幅に軽減され、安全性も高まります。さらに、静音性やメンテナンスのしやすさも考慮すべき点です。エンジン式は騒音が大きいため、住宅地に近い場所で使用する場合は作業時間に配慮するか、防音型の機種を選ぶ必要があります。

これらの機械は数十万円から百万円を超える高価なものですが、近年では自治体が竹林整備支援のために粉砕機を無料で貸し出していたり、購入費用の補助金制度を設けていたりするケースが増えています。また、農機具レンタル会社で借りることも可能です。まずはレンタルで使い勝手を試し、自身の作業規模に合った機種を見極めてから購入するというステップを踏むのが、失敗のない作り方と言えるでしょう。

作った竹チップの活用方法と目的に合わせた作り方の応用

苦労して作った竹チップは、その形状や処理方法によって様々な用途に活用できます。単に地面に撒くだけでなく、発酵させて肥料にしたり、雑草を抑えるマルチング材として利用したりと、その可能性は無限大です。ここでは、竹チップの主な活用方法と、それぞれの用途に最適化した作り方や加工の応用テクニックについて深掘りしていきます。

土壌改良材として使う場合の注意点と効果

竹チップを畑や花壇の土に混ぜ込むことで、土壌改良材としての効果が期待できます。竹チップは多孔質(小さな穴がたくさん空いている構造)であるため、土壌の通気性と保水性を同時に向上させる働きがあります。これにより、植物の根が呼吸しやすくなり、根張りが良くなる効果があります。また、竹チップの小さな穴は土壌微生物の住処となり、土の中の生態系を豊かにしてくれます。

しかし、竹チップを土壌改良材として使う際には、作り方と使い方に重要な注意点があります。それは「窒素飢餓」という現象です。生の竹チップは炭素を多く含んでいますが、これを微生物が分解する過程で、土の中の窒素を大量に消費します。その結果、植物が吸収すべき窒素が不足し、生育不良を起こしてしまうのです。これを防ぐためには、生の竹チップをそのまま土にすき込むのではなく、あらかじめ発酵させておくか、窒素肥料(油かすや鶏糞など)を同時に施用して、分解に必要な窒素を補ってやる必要があります。

また、土壌改良効果を最大限に引き出すための作り方として、できるだけ細かく粉砕することが挙げられます。粒が細かいほど土と馴染みやすく、分解も早く進みます。パウダー状に近い竹粉を作ることができれば、表面積が増えて微生物の働きが活発になり、土壌改良の効果が早期に現れます。逆に粗いチップは分解に数年かかるため、長期間にわたって土壌の物理性(水はけなど)を改善したい場合に適しています。目的の期間に合わせて粒度を調整することが、賢い作り方と言えます。

竹パウダー堆肥への発酵プロセスの詳細

竹チップの活用法の中で、最も農業的価値が高いのが「竹パウダー堆肥」への加工です。竹には元々、乳酸菌をはじめとする有用な微生物が付着しており、適切な環境を整えてやることで良質な発酵堆肥を作ることができます。竹パウダー堆肥は、作物の糖度向上や病気への抵抗力強化など、驚くべき効果をもたらすことが多くの農家によって実証されています。

堆肥化するための作り方は以下の通りです。まず、竹を専用の微粉砕機でパウダー状(おがくず状)にします。この際、乾燥した竹よりも生竹の方が水分を含んでおり発酵に適しています。次に、この竹パウダーに発酵促進剤として米ぬかを混ぜ合わせます。比率としては竹パウダー10に対して米ぬか1から2程度が目安です。これに水を加えて、手で握ると固まるくらいの水分量(含水率60パーセント程度)に調整します。

その後、空気が入らないようにビニール袋に詰めて密封するか(嫌気性発酵)、山積みにしてシートを被せ、定期的に切り返しを行うか(好気性発酵)のいずれかの方法で発酵させます。初心者には管理が容易な嫌気性発酵がおすすめです。夏場なら2週間から1ヶ月、冬場なら2ヶ月から3ヶ月程度で発酵が進みます。成功すれば、甘酸っぱいフルーティーな発酵臭がし、表面に白い菌糸が回ります。これが完成のサインです。

もしアンモニア臭や腐敗臭がした場合は失敗ですので、水分量が多すぎなかったか、撹拌が十分だったかを見直す必要があります。この発酵竹パウダーは、肥料成分としての効果だけでなく、土壌中の微生物相を改善する強力な資材となります。作り方のコツさえ掴めば、身近な竹林から最高級の資材を生み出すことができるのです。

防草シート代わりや舗装材としての敷き詰めテクニック

竹チップは、雑草対策や景観向上のための舗装材としても非常に優秀です。この用途の場合、パウダー状にする必要はなく、むしろある程度の大きさ(1センチメートルから3センチメートル程度)がある粗いチップの方が適しています。粗いチップは風で飛びにくく、踏みしめられた時に適度なクッション性を発揮するからです。

防草目的での使い方のポイントは、「厚み」です。日光を遮断して雑草の光合成を阻害するためには、少なくとも5センチメートル、できれば10センチメートル以上の厚さで竹チップを敷き詰める必要があります。薄すぎるとチップの隙間から雑草が伸びてきてしまいます。また、あらかじめ生えている雑草を根から抜いて整地してから敷くことが重要です。より完璧な防草効果を求めるならば、防草シートを敷いた上に竹チップを敷設するという二重構造にするのが最も効果的です。これにより、シートの無機質な見た目を隠しつつ、シートの劣化を防ぐこともできます。

遊歩道やドッグランに敷く場合も、この粗めの竹チップが活躍します。竹には抗菌作用があると言われており、清潔感を保ちやすいというメリットがあります。また、雨が降ってもぬかるみにならず、水はけが良いため、快適な歩行環境を維持できます。ただし、竹チップは有機物であるため、時間の経過とともに分解され、土に還っていきます。そのため、1年から2年ごとに新しいチップを補充して厚みを維持するメンテナンスが必要です。この「減っていく」という性質は、撤去や処分の手間がないという点では大きなメリットと言えます。自分の庭や管理地で循環型の利用ができるのが、竹チップ舗装の最大の魅力です。

竹チップの作り方をマスターするための重要事項まとめ

竹チップの作り方は、単なる作業の手順だけでなく、竹という植物の特性や、チップの利用目的を深く理解することから始まります。適切な時期の伐採、目的に応じた粉砕機の選定、そして用途に合わせたサイズ調整や発酵処理など、各工程において知識と工夫が求められます。しかし、それらのハードルを越えて作られた竹チップは、地域の環境を改善し、農業やガーデニングに大きな恩恵をもたらす宝の山となります。

また、竹チップ作りは一人で行うには大変な作業ですが、地域コミュニティや仲間と協力して行うことで、楽しみながら環境保全に貢献できる活動にもなります。粉砕機の共同購入やシェア、作業の分担など、連携することでより効率的に、大規模な竹林整備が可能になります。放置竹林というマイナスの遺産を、竹チップというプラスの資産に変える取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも非常に意義深いものです。ぜひ、この記事で紹介した作り方や活用術を参考に、安全に配慮しながら竹チップ作りに挑戦してみてください。自然の恵みを無駄なく使い切る知恵と技術は、私たちの生活をより豊かで持続可能なものにしてくれるはずです。

竹チップ 作り方と活用についてのまとめ

今回は竹チップの作り方についてお伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。

・竹チップの原料となる竹は11月から2月の水分と養分が少ない時期に伐採するのが最適だ

・冬場に切った竹は乾燥しやすく虫害のリスクも低いため高品質なチップになりやすい

・伐採後は粉砕機に入れやすいように枝払いを行い適切な長さに玉切りする前処理が必要だ

・手作業での粉砕は非常に重労働であるため大量生産には専用の機械導入が推奨される

・粉砕機を選ぶ際は竹対応の機種を選び処理能力や刃の形状を確認することが重要だ

・土壌改良材として使う場合は窒素飢餓を防ぐために発酵させるか窒素肥料を併用する

・竹パウダー堆肥を作るには微粉砕した竹に米ぬかと水を混ぜて乳酸菌発酵させる

・発酵の成功は甘酸っぱい香りと白い菌糸の発生で見極め水分管理が鍵となる

・防草目的で敷く場合は日光を遮断するために5センチメートル以上の厚さが必要となる

・舗装材としては粗めのチップが適しておりクッション性や水はけの良さが発揮される

・竹チップは有機物であり時間の経過とともに分解されるため定期的な補充が必要となる

・自治体によっては粉砕機の無料貸し出しや購入補助金制度があるため確認すべきだ

・竹チップ作りは放置竹林問題を解決し地域資源を循環させる環境保全活動につながる

竹チップ作りは、道具と正しい知識があれば誰でも始めることができます。まずは身近な竹を使って、小さな規模から試してみてはいかがでしょうか。その一歩が、豊かな土壌作りと美しい里山の再生への大きな貢献となるのです。

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