庭の木を抜く費用はいくら?相場からDIYの可否、業者の選び方までを幅広く調査!

庭に茂る木々は、私たちに四季の移ろいを感じさせ、日差しを和らげ、時には目隠しとしてプライバシーを守ってくれる大切な存在です。しかし、その木が成長しすぎると、状況は一変します。

「大きくなりすぎて、隣の家まで枝が越境してしまった」

「落ち葉の掃除が追いつかず、雨樋が詰まって困っている」

「根が張り出して、家の基礎や駐車場のコンクリートを持ち上げている」

「日当たりが遮られ、家の中が暗くなってしまった」

「毛虫やハチなどの害虫が大量発生し、窓も開けられない」

こうした問題が深刻化すると、愛着のある庭木であっても「切る」あるいは「抜く」という選択を迫られることになります。

ここで重要なのが、「切る(伐採)」と「抜く(抜根)」は全く異なる作業であるという点です。「木を抜く」とは、単に地上部を切り倒す「伐採」とは異なり、地中に張り巡らされた「根」までをも完全に取り除く「抜根(ばっこん)」を指します。この抜根作業は、伐採に比べて遥かに高度な技術、多くの労力、そして専門的な機材を必要とします。

そして、この抜根を検討する上で、誰もが直面する最大の関心事、それが「費用」です。

「庭の木を1本抜くのに、一体いくらかかるのか?」

「費用は何によって決まるのか?相場は?」

「もしかして、自分で抜くことはできないのか?」

「業者に頼むなら、どこに頼めば安心で、費用を抑えられるのか?」

この記事では、こうした「庭の木を抜く費用」に関するあらゆる疑問に答えるため、費用の相場と内訳、価格の変動要因、DIY(自力作業)の可能性とそれに伴う重大なリスク、そして信頼できる専門業者の選び方と費用を抑えるコツまで、あらゆる角度から客観的な情報を幅広く調査し、徹底的に解説していきます。

庭の木を抜く費用はどう決まる?知っておくべき相場と内訳

「庭の木を抜く」という作業は、一見単純そうに見えて、その費用はケースバイケースで大きく変動します。なぜなら、一本一本の木の状態、生えている環境が全く異なるからです。まずは、費用の相場観と、その金額がどのような要素によって算出されているのか、その仕組みを詳しく見ていきましょう。

「伐採」と「抜根」の根本的な違いと費用の差

庭の木を処分する際、まず「伐採」と「抜根」の違いを明確に理解することが不可欠です。

  • 伐採(ばっさい)
    • 作業内容:木の地上部(幹や枝)を切り倒す作業。地中には「切り株」と「根」がそのまま残ります。
    • 目的:高さを低くする、枝をなくす、日照を確保する、倒木の危険を回避する。
    • 費用感:抜根に比べて安価。
  • 抜根(ばっこん)
    • 作業内容:伐採で地上部を処理した後、地中に残った「切り株」と「根」を掘り起こし、完全に取り除く作業。
    • 目的:木があった場所を更地にして駐車場や花壇にしたい、根が基礎や配管を傷めるのを防ぎたい、シロアリの発生源(腐った根)を断ちたい、再び芽(ヒコバエ)が出てくるのを防ぎたい。
    • 費用感伐採費用に加えて、追加で抜根費用が発生します。作業の手間、使用する機材(重機など)が格段に増えるため、費用は伐採のみの場合と比べて数倍になることも珍しくありません。

この記事で扱う「木を抜く費用」とは、この「抜根」にかかる費用のことです。多くの場合、「伐採費用+抜根費用+処分費用」の合計が見積もり額となります。

抜根費用の算出方法:単価制(高さ・幹の太さ)と時給制(職人単価)

抜根費用(および伐採費用)の算出方法は、業者によって異なりますが、主に以下のパターンに大別されます。

  1. 単価制(木のサイズによる積算)多くの造園業者や伐採業者が採用している方法で、木の「高さ」や「幹の太さ(直径または周長)」に応じて、1本あたりの単価が設定されています。【伐採費用の相場例(1本あたり)】
    • 3m未満(低木):約3,000円~10,000円
    • 3m~5m(中木):約8,000円~25,000円
    • 5m~10m(高木):約15,000円~50,000円
    • 10m以上:別途見積もり(重機必須)
    【抜根費用の相場例(1本あたり)】
    • 幹の直径が~15cm:約5,000円~15,000円
    • 幹の直径が15cm~30cm:約10,000円~30,000円
    • 幹の直径が30cm~50cm:約20,000円~60,000円
    • 幹の直径が50cm以上:別途見積もり(重機必須)
    注意点:上記はあくまで目安です。伐採費用と抜根費用は別々に計算され、合算されます。例えば「高さ4m、幹の直径20cmの木」を伐採・抜根する場合、「伐採費15,000円+抜根費20,000円=合計35,000円(+処分費・諸経費)」といった見積もりになります。
  2. 時給制・日当制(職人の人工(にんく)による積算)木のサイズや本数ではなく、作業に必要な「職人の人数」と「作業時間(日数)」で費用を算出する方法です。
    • 職人1人あたりの日当相場:約15,000円~30,000円
    • (例:職人2名が1日作業する場合 → 2名×25,000円=50,000円 + 処分費・諸経費)
    この方法は、本数が多い場合や、作業の難易度が高く時間が読みづらい現場(狭い場所、手作業がメインなど)で適用されることがあります。

庭の木を抜く費用を変動させる7つの主要因

前述の相場は、あくまで「標準的な作業環境」での目安に過ぎません。実際の費用は、以下の7つの要因によって、相場より遥かに高額になる可能性があります。見積もりを取る前に、ご自身の庭がどの条件に当てはまるか確認しておくことが重要です。

  1. 木の高さと幹の太さ最も基本的な変動要因です。木が高ければ高所作業車やクレーンが必要になり、幹が太ければ太いほど、根も強固に張っているため、抜根の難易度と作業時間が爆発的に増加します。
  2. 根の張り方と深さ木の地上部以上に費用を左右するのが「根」の状態です。
    • 浅く横に広がる根(例:桜、梅):比較的抜きやすいとされますが、広範囲を掘削する必要があります。
    • 深くまっすぐ伸びる根(例:松、ケヤキ、クスノキ):抜根作業は極めて困難になります。根が非常に深く、「主根(しゅこん)」と呼ばれる太い根が地中深くまで伸びているため、大型重機(ユンボなど)が必須となるケースが多いです。
  3. 木の種類樹種によって根の特性が異なるため、費用も変わります。前述の松やケヤキのように根が深い木、あるいは非常に硬い材質の木(例:カシ)は、作業が難航するため高額になる傾向があります。
  4. 作業場所の環境(立地)これが費用を数倍に跳ね上がらせる最大の要因です。
    • 重機が入れない:庭が狭い、門が狭い、車が横付けできない、電線が密集している、傾斜地である、といった理由で重機(ユンボ、クレーン車、トラック)が作業場所まで進入できない場合、全ての作業を「手作業」で行うことになります。
    • 手作業の抜根は、スコップやつるはし、ハンドウィンチ(手動の牽引機)などを使って、人力で何日もかけて掘り起こす作業となります。これにより、作業日数が激増し、人件費が膨れ上がるため、費用は重機が使える場合の2倍〜5倍以上になることもあります。
    • また、家の基礎、ブロック塀、水道管、ガス管などの構造物が根のすぐ近くにある場合も、これらを傷つけないよう慎重な手作業が必要となるため、費用が上昇します。
  5. 重機の使用の有無要因4と表裏一体ですが、重機が使用できるかどうかは天と地ほどの差があります。重機(主にユンボ=バックホー)が使用できれば、人力では1日かかっても抜けないような太い根でも、数分〜数十分で引き抜くことが可能です。
    • ただし、重機を使用する場合は、重機本体のリース代や燃料代、現場まで運ぶための「回送費」、重機を操作する「オペレーター代」が別途加算されます。
  6. 抜いた木(根)の処分費用伐採・抜根作業で出た木や根は、**「産業廃棄物」**として扱われることが多く、一般の家庭ゴミとして捨てることはできません。
    • これらの処分は、専門の廃棄物処理場に持ち込む必要があり、その「処分費」が実費で請求されます。
    • 処分費は、廃棄物の「量」=「トラックの積載量」で計算されるのが一般的です。(例:軽トラック1台分 5,000円~15,000円、2トントラック1台分 15,000円~40,000円など)
  7. 整地作業の有無抜根作業を行うと、当然ながら大きな穴が空きます。その穴をどう処理するかで費用が変わります。
    • 埋め戻し:掘り起こした土(残土)をそのまま戻すだけの作業。
    • 整地:新しい土(真砂土など)を入れて平らにならし、次の用途(花壇、駐車場、砂利敷きなど)に使える状態にする作業。
    • 見積もりに「どこまでの整地が含まれているか」を必ず確認する必要があります。

費用の内訳書でチェックすべき項目(作業費・処分費・諸経費)

業者から見積書を受け取ったら、「一式 〇〇円」となっていないか、必ず詳細な内訳を確認してください。信頼できる業者は、以下の項目を明確に記載しているはずです。

  • 作業費
    • 伐採費:(例:〇〇(木の種類) H=5m 幹周=50cm 1本 〇〇円)
    • 抜根費:(例:〇〇(木の種類) 幹周=50cm 1本 〇〇円)
    • 重機作業費:(例:重機(ユンボ)使用 1式 〇〇円)
    • 高所作業車使用料:(必要な場合)
  • 処分費
    • 幹・枝葉 処分費:(例:2tトラック 1台分 〇〇円)
    • 抜根(根株) 処分費:(幹とは別に計算される場合あり)
    • 残土処分費:(土の入れ替えを行った場合)
  • 諸経費
    • 重機回送費:(重機を現場に運ぶ往復費用)
    • 駐車場代:(作業車両の駐車スペースがない場合の実費)
    • 交通費:(遠方の場合)
  • その他
    • 整地作業費:(例:真砂土 2立米 〇〇円)
    • 消費税

これらの項目が明確であればあるほど、作業内容が透明であり、後からの追加請求トラブルを防ぐことができます。

庭の木を自分で抜くのは可能?DIYのリスクと業者依頼のメリット

専門業者に依頼すると高額になりがちな抜根費用。「それなら、週末に自分でやってみよう」と考える方も少なくないでしょう。しかし、結論から言えば、庭の木のDIYによる抜根は、非常に高いリスクを伴うため、基本的には推奨されません

ここでは、DIYで木を抜く具体的な方法と、それに伴う重大なリスク、そして業者に依頼した場合のメリットを比較検討します。

DIY(自力)で木を抜く方法と必要な道具

もしDIYに挑戦する場合、木の大きさによって方法が異なります。

  1. 小さな木(低木・苗木:幹の直径5cm未満目安)
    • 手順
      1. 幹の周囲(最低でも幹の直径の3倍以上)をスコップで深く掘り下げていきます。
      2. 細い根はスコップで切断し、太い根が出てきたら剪定ばさみやノコギリ(根切り用)で切断します。
      3. 地中深くまで伸びる「主根」を見つけたら、それを切断します(これが最も重要)。
      4. 全ての根が切れたら、幹を持って左右に揺さぶり、引き抜きます。
    • 道具:スコップ(剣先、角スコ)、剪定ばさみ、根切り用ノコギリ、軍手、ゴーグル
  2. 中程度の木(幹の直径5cm~20cm目安)
    • 手順
      1. まず、安全のため地上部をチェーンソーやノコギリで伐採し、作業しやすい高さ(1m程度の切り株)にします。
      2. 低木と同様に、切り株の周囲を可能な限り広く、深く掘り下げます。
      3. スコップでは切れない太い根が四方八方に出てきます。これをつるはし、斧、またはチェーンソー(土中での使用は刃の消耗が激しく危険)で根気よく切断していきます。
      4. ある程度根が切れたら、切り株にバールなどを差し込み、テコの原理で持ち上げようと試みます。
      5. それでも動かない場合は、ハンドウィンチ(手動の牽引機)やチェーンブロックを使用します。切り株にワイヤーをかけ、もう一方を別の太い木や、地中に打ち込んだアンカーなどに固定し、少しずつ引っ張り上げます。
    • 道具:上記に加え、チェーンソー、つるはし、斧、バール(大)、ハンドウィンチ、ワイヤーロープ、シャックル、安全靴、防護服
  3. 薬剤(除草剤)で根を枯らす方法
    • これは「抜く」作業の補助、あるいは抜根を諦めて「枯らす」ことに専念する方法です。
    • 手順
      1. 木を伐採し、切り株の状態にします。
      2. 切り株の断面(特に樹皮に近い部分)に、ドリルで複数の穴を開けます。
      3. その穴に、**除草剤の原液(グリホサート系、MCP系など)**をスポイトや刷毛で注入(または塗布)します。
      4. 切り株が雨で濡れないよう、ビニールなどで覆います。
      5. 薬剤が根まで浸透し、数ヶ月~1年以上かけてゆっくりと根が枯死するのを待ちます。
    • 注意点:即効性はありません。根が枯れたとしても、太い根は地中で腐るまで何年もかかり、その間シロアリの温床になるリスクがあります。また、薬剤が周囲の他の植物に影響を与える可能性もあります。

自分で木を抜く際の重大なリスクとデメリット

DIYでの抜根作業には、費用が浮くかもしれないというメリットを遥かに凌駕する、深刻なデメリットとリスクが存在します。

  1. 身体的な危険(重大な人身事故のリスク)
    • 工具による怪我:使い慣れないチェーンソーでのキックバック(刃の反発)による重傷事故は後を絶ちません。斧やつるはしが足に当たるといった事故も容易に想像できます。
    • 転倒・落下:木の伐採中に脚立から落ちる、根につまずいて転倒する。
    • 腰痛:掘削作業や、抜いた重い根の運搬は、想像を絶する重労働であり、ぎっくり腰などの原因となります。
    • 害虫・生物との遭遇:根を掘り起こすと、地中からムカデやハチ(スズメバチが地中に巣を作ることもあります)が飛び出してくることがあり、非常に危険です。
  2. 建物やインフラ(配管)への損害リスク
    • これがDIYで最も回避すべき最大のリスクです。
    • 庭の地中には、私たちが思っている以上に多くの重要インフラが埋設されています。
      • 水道管、下水管(排水管)
      • ガス管
      • 電気ケーブル、通信ケーブル
    • 木の根は、これらの配管を避けるどころか、巻き付くようにして成長していることが多々あります。
    • 図面で位置を確認していても、実際の埋設位置がずれていることもあります。
    • もし、つるはしやスコップでこれらの配管を破損させてしまったらどうなるでしょうか。
      • 下水管破損:汚水が漏れ出し、地盤沈下や悪臭、衛生問題を引き起こします。
      • 水道管破損:水が噴き出し、庭が水浸しになるだけでなく、近隣の断水を引き起こす可能性もあります。
      • ガス管破損最悪の事態です。ガス漏れが発生し、引火すれば大爆発や火災、一酸化炭素中毒など、自分だけでなく近隣住民の命に関わる大惨事につながります。
    • これらの修復費用は、抜根費用を業者に支払う金額とは比較にならない数百万円単位の高額請求になる可能性があります。
    • また、家の基礎(コンクリート)のすぐそばにある木を無理に抜こうとして、基礎にヒビを入れたり、破損させたりするリスクもあります。
  3. 不完全な作業のリスク(シロアリの温床化)
    • DIYでは、地中深くまで伸びた根や、広範囲に散らばった細かい根を完全に取り除くことは極めて困難です。
    • 地中に残った根は、やがて腐敗し始めます。この**腐った木材(セルロース)**は、シロアリの大好物です。
    • 根が残ることで、シロアリを庭に呼び寄せ、繁殖させる「餌場」を提供してしまうことになります。そのシロアリが、残った根を伝って家の土台に侵入すれば、住宅に甚大な被害を及ぼします。
  4. 抜いた木と根の処分(ゴミ処理)の問題
    • 苦労して木と根を抜いたとしても、問題は終わりません。
    • 前述の通り、抜いた木や根は「産業廃棄物」扱い(または自治体の粗大ゴミでも厳しい制限あり)となるため、一般の可燃ゴミや枝葉ゴミとして出すことはできません。
    • 結局、自分で軽トラックなどをレンタルし、自治体指定のクリーンセンターや廃棄物処理場に「有料」で持ち込むか、廃棄物収集運搬業者に「有料」で引き取りを依頼する必要があります。
    • この手間と費用を考えると、DIYによる費用削減効果は、想像以上に小さいものとなります。

プロの業者に依頼するメリットと費用対効果

DIYのリスクを踏まえると、特に幹の直径が10cmを超えるような木、あるいはインフラ配管が近い可能性のある木については、専門業者に依頼することが唯一の現実的な選択肢と言えます。

  1. 安全性と確実性
    • 作業員は専門的な訓練を受け、安全装備を熟知しています。怪我のリスクを全て業者側が負ってくれます。
    • 重機や専用工具を使い、地中の深い根まで徹底的に除去します。これにより、シロアリの発生リスクを最小限に抑え、土地をクリーンな状態に戻せます。
  2. スピードと効率
    • DIYで数日、あるいは数週間かけても終わらないような困難な抜根作業でも、プロが重機を使えば、多くの場合、半日~1日(高木でも数日)で完了します。
  3. ワンストップサービス
    • 伐採、抜根、抜いた木や根の処分、そして抜根後の穴の整地(真砂土入れ、コンクリート打設など)まで、全ての工程を一括して依頼できます。自分で廃棄物処理場の手配をする必要もありません。
  4. 近隣への配慮
    • 優良な業者は、作業開始前に近隣住民へ挨拶回りを行い、作業日時、騒音や振動について説明し、トラブルを未然に防ぎます。作業中も、粉じんが飛ばないよう養生するなど、配慮が行き届いています。
  5. 万が一の補償(損害賠償保険)
    • これが最大のメリットの一つです。プロの業者であっても、地中の配管を誤って破損させてしまうリスクはゼロではありません。
    • しかし、まともな業者は必ず**「損害賠償責任保険」**に加入しています。万が一、作業中に家屋の一部やブロック塀、地中の配管を破損させてしまっても、保険を使って原状回復・修理を行ってくれます。DIYで破損させた場合は、全て自己責任(高額な実費負担)です。

費用対効果の結論

DIYでかかる道具の購入費やレンタル代、膨大な作業時間と労力、廃棄物処理の手間と費用、そして何よりも「ガス管破損」や「シロアリ発生」といった取り返しのつかないリスクを考慮すると、中〜高木の抜根作業は、費用を支払ってでも専門業者に依頼する方が、トータルでの「費用対効果」は遥かに高いと言えます。

失敗しない「庭の木を抜く業者」の選び方と費用を抑えるコツ

庭の木を抜く作業は、専門業者に依頼するのが賢明であると結論付けました。しかし、業者ならどこでも良いというわけではありません。残念ながら、法外な費用を請求したり、作業がずさんだったりする業者も存在します。

ここでは、信頼できる業者を見極める方法と、その上で費用を少しでも賢く抑えるためのヒントを調査しました。

どこに頼む?業者の種類と特徴(造園業、植木屋、便利屋、専門業者)

「庭の木を抜く」作業を依頼できる業者は、主に以下の4種類に分類されます。それぞれの特徴を理解し、自分の状況に合った業者を選びましょう。

  1. 造園業者・植木屋(庭師)
    • 特徴:庭木のプロフェッショナル。木の生態、剪定、植栽に関する深い知識を持っています。
    • メリット:抜根作業はもちろんのこと、抜根後の「庭の活用法」(別の木の植え替え、花壇づくり、芝生張りなど)まで、トータルで相談できます。丁寧な作業と美しい仕上がりが期待できます。
    • デメリット:専門性が高い分、費用は高めになる傾向があります。また、重機作業よりも手作業(伝統技術)を重視する職人気質のところもあります。
  2. 抜根・伐採専門業者(特殊伐採業者)
    • 特徴:木の伐採、抜根、処分に特化した専門業者。近年増えています。
    • メリット:重機(ユンボ、クレーン、高所作業車)を自社で保有していることが多く、作業がスピーディで効率的です。狭所や高所、大木、傾斜地などの「難易度の高い現場」の経験が豊富です。特化している分、造園業者よりも費用が安価になるケースがあります。
    • デメリット:あくまで「伐採・抜根」が専門のため、抜根後の庭づくり(植栽など)には対応していない場合があります。
  3. 便利屋・何でも屋・シルバー人材センター
    • 特徴:地域の様々な困りごとに対応するサービス。
    • メリット:小さな木(低木)1本だけ、といった小規模な作業であれば、専門業者より安価に、かつフットワーク軽く対応してくれる可能性があります。
    • デメリット:大木や高木、根が深い木、重機が必要な作業は、専門知識や機材、保険の面で対応できない(断られる)ケースが多いです。仮に受注しても、結局は下請け(造園業など)に丸投げし、中間マージンが発生して逆に高額になることもあります。損害賠償保険への加入状況も必ず確認が必要です。
  4. ハウスメーカー・工務店・リフォーム会社
    • 特徴:家を建てた会社や、外構リフォームの一環として依頼するケース。
    • メリット:窓口が一つで済むため、安心感があります。
    • デメリット:実際の作業は、提携する下請けの造園業者や専門業者が行います。そのため、必ず中間マージン(紹介料)が上乗せされるため、費用は他と比べて最も高額になる傾向が強いです。

結論:信頼性と抜根後の相談もしたいなら「造園業者・植木屋」、大木や難所、コストとスピード重視なら「抜根・伐採専門業者」が、主な依頼先となるでしょう。

悪徳業者を回避!見積もり比較(相見積もり)の重要性

業者選びで最も重要なプロセスが「相見積もり(あいみつもり)」です。

  1. 相見積もりは必須(最低3社)
    • 「庭の木を抜く費用」には定価がありません。同じ作業内容でも、業者によって見積もり額は数万円、場合によっては10万円以上開くこともあります。
    • 必ず最低3社からは見積もりを取り、金額と作業内容を比較検討してください。
  2. 電話・メールだけの見積もりは危険
    • 「幹の太さ〇cmで〇円です」といった電話やメールだけの簡易見積もりは絶対に信用してはいけません。
    • 前述の通り、費用は立地条件(重機が入れるか、配管は近いか)によって激変します。
    • 必ず**「無料の現地調査」**を依頼し、業者に実際に現場を見てもらい、木の状況、根の張り、重機の搬入経路、周囲の状況を詳細に確認してもらった上で、正式な見積書を提示してもらってください。
  3. 見積書で確認するポイント
    • 「一式 〇〇円」はNG:H2(1.4)で解説した内訳(伐採費、抜根費、処分費、諸経費)が詳細に記載されているか。
    • 作業内容の明確化:どこまでが費用に含まれているか。「抜根」は根株除去までか。「整地」はどのレベル(埋め戻しのみ、真砂土入れまで)か。
    • 追加費用の発生条件:「作業当日に、地中から配管やコンクリートガラ(建設廃材)が出てきた場合、別途費用がかかります」といった但し書きが明確か。
    • 損害賠償保険の加入:見積書やパンフレットに「損害賠償責任保険 加入済み」の記載があるか。無ければ口頭で確認し、証券のコピーを見せてもらうのが確実です。
  4. 安すぎる見積もりの罠
    • 相見積もりの中で、1社だけ極端に安い見積もりが出てきた場合、喜ぶのは早計です。
    • 不法投棄:抜いた木や根を、正規の処分場ではなく、山中などに不法投棄して処分費を浮かせている可能性があります(この場合、依頼主が責任を問われるケースもゼロではありません)。
    • ずさんな作業:抜根が不十分で、太い根を地中に残したまま作業を終了し、シロアリの原因を作る。
    • 高額な追加請求:契約時の見積もりは安くしておき、作業当日に「重機が必要になった」「根が深かった」などと理由をつけて、高額な追加費用を請求する。
  5. 業者の対応チェック
    • 現地調査の際の担当者の対応も重要な判断材料です。
    • 地中の配管(ガス、水道)の位置について質問してくるか。
    • 作業のリスクについて、誠実に説明してくれるか。
    • 質問に対して、専門知識に基づいた明確な回答が返ってくるか。

庭の木を抜く費用を賢く抑える4つのヒント

相見積もりで信頼できる業者候補が絞れたら、以下の方法で費用を抑えられないか検討・相談してみましょう。

  1. 業者の閑散期を狙う
    • 造園・伐採業界の繁忙期は、一般的に台風シーズン前の夏、落ち葉が増える秋、そして年末年始(庭を綺麗にして新年を迎えたい需要)と言われます。
    • 逆に、**春先(新緑前)や、梅雨時期、真冬(1月~2月)**などは比較的仕事が少ない「閑散期」にあたる場合があります。
    • 閑散期に作業を依頼することで、スケジュールに融通が利くだけでなく、「〇円値引きしてくれたら、今月中に契約します」といった価格交渉がしやすくなる可能性があります。
  2. 作業内容を分離して発注する
    • 「伐採・抜根」「処分」「整地」の全てを業者に任せるのが最も楽ですが、費用も最大になります。
    • 例えば、「抜根まで(穴は掘りっぱなし)」を専門業者に依頼し、「整地(土の購入、埋め戻し)」は自分で行う。
    • あるいは、「伐採・抜根・整地」を業者に依頼し、「処分」だけを自分で行う(処分場へ自己搬入する許可を市役所などで取り、軽トラックをレンタルして自分で運ぶ)。
    • ただし、この方法はかなりの手間と労力がかかるため、削減できる費用(処分費の数万円)と、自分の労力(数時間の重労働)を天秤にかけて判断する必要があります。
  3. 抜根せず「伐採」+「薬剤処理」に留める
    • これは費用の観点からは最も効果的な方法です。
    • 「木は無くしたいが、その土地をすぐに使う予定はない(駐車場や建物を建てる予定はない)」という場合。
    • 「抜根(根を抜く)」を諦め、「伐採(地上部カット)」+「切り株への薬剤処理(根を枯らす)」だけを業者に依頼します。
    • 抜根作業(重機、手掘り)が丸ごと不要になるため、費用は伐採費+α程度まで劇的に下がります。
    • デメリット:根が地中に残るため、シロアリのリスクは残ります。また、土地が更地として使えない状態が続きます。このデメリットを許容できるかどうかが判断の分かれ目です。
  4. 自治体の補助金・助成金(※期待薄)
    • 結論から言うと、個人の庭の木を抜く(抜根)という理由だけでは、補助金や助成金が出る自治体は、ほぼ存在しません
    • 例外として、以下のような非常に限定的なケースでは、補助の対象となる「可能性」があります。
      • 空き家対策:管理不全な「空き家」の敷地にある、倒木の危険性が高い「危険木」の撤去費用の一部として。
      • 防災・景観:道路に面した危険なブロック塀を撤去し、代わりに「生垣」を設置する場合の、生垣設置費用の一部として(抜根費用そのものではない)。
      • 地域緑化:特定の緑化協定区域内での整備の一環として。
    • これらは極めて稀なケースであり、基本的には「期待できない」ものと考え、市役所や区役所の「緑地課」「都市計画課」「建築指導課(空き家担当)」などに、参考までに問い合わせてみる、という程度に留めておくべきです。

まとめ:庭の木を抜く費用と作業の全容まとめ

庭の木を抜く費用と業者選びのポイントについてのまとめ

今回は庭の木を抜く費用についてお伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。

・「木を抜く」とは地上部を切る「伐採」と地中の根を除く「抜根」を合わせた作業を指す

・抜根作業は伐採のみより遥かに高額になる

・抜根費用は木の幹の太さ(直径)や高さで単価が決まることが多い

・職人の日当(人工)で費用が算出される時給制もある

・抜根費用は「木の高さ・太さ」「根の張り方」「木の種類」で変動する

・費用変動の最大の要因は「作業場所の環境(重機が進入可能か)」である

・重機が使えない狭い場所では、人件費がかさみ費用が数倍になることがある

・抜いた木や根の「処分費用」が、作業費とは別に発生する

・抜根後の穴の「整地」をどこまで依頼するかで見積もりが変わる

・DIYでの抜根は「ガス管」「水道管」など地中インフラを破損させる重大なリスクがある

・DIYで地中インフラを破損した場合、修理費は数百万円に及ぶ可能性がある

・DIYで根が残ると、シロアリの発生源(温床)になるリスクがある

・専門業者は「損害賠償責任保険」に加入しており、万が一の破損時も補償される

・業者選びは「造園業」「伐採専門業者」などが中心となる

・必ず3社以上から「現地調査」を経た「相見積もり」を取得する

・費用を抑えるには業者の閑散期を狙う、または抜根しない(伐採+薬剤処理)選択肢もある

庭の木が大きくなりすぎて問題となっている場合、その解決策として「抜根」は非常に有効な手段です。

しかし、その作業は専門的な技術と機材、そして何よりも地中に潜むリスクへの対処を必要とします。

ご自身の安全と、大切な住まい、そして近隣への影響を最優先に考え、信頼できるプロの業者に相談することから始めてみてください。

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