熊本県阿蘇郡南小国町。黒川温泉にほど近い秘境、白川源泉に佇む一軒の宿が、全国の温泉ファンの憧れを集めています。「秘境 白川源泉 竹ふえ」。その名の通り、約5000坪もの広大な敷地には見渡す限りの竹林が広がり、その中にわずか12室の離れが点在しています。一歩足を踏み入れれば、そこは世俗から隔絶された幽玄の世界。竹林を渡る風の音と、こんこんと湧き出る湯の音だけが響く空間は、まさに大人のための隠れ家です。
多くの旅行者が「一度は泊まってみたい」と口を揃えるこの竹ふえですが、同時に話題となるのがその「値段」です。日本国内でもトップクラスの価格帯に位置するこの宿は、決して気軽に泊まれる金額ではありません。しかし、それでもなお予約は困難を極め、リピーターが後を絶たないのはなぜでしょうか。単なる高級旅館という枠を超え、テーマパークのような驚きと感動を提供すると噂されるそのサービス内容には、宿泊費以上の価値が隠されているのかもしれません。
一体、一泊するのにどれくらいの予算が必要なのか。部屋によって値段はどの程度違うのか。そして、その高額な料金にはどのようなサービスや体験が含まれているのか。本記事では、竹ふえの値段設定について、客室のグレード、食事のクオリティ、無料サービスの充実度など、あらゆる角度から幅広く調査し、そのコストパフォーマンスの真実に迫ります。これから特別な日の滞在を検討されている方にとって、後悔のない選択をするための詳細なガイドとなるよう解説していきます。
竹ふえの値段は客室のランクで大きく変動?各部屋の料金相場と設備を徹底比較
竹ふえの宿泊料金は、選択する客室のタイプによって大きく異なります。全12室はすべて離れ形式となっており、それぞれが異なる意匠とコンセプトで作られていますが、広さや設備、露天風呂の大きさなどによってグレード分けされています。ここでは、いくつかのカテゴリーに分けて、それぞれの部屋の特徴と、目安となる値段(大人1名あたりの1泊2食付き料金)について詳しく見ていきましょう。
スタンダードな離れ客室でも驚きの広さと設備を持つ料金帯
まずは、竹ふえの中では比較的リーズナブルとされるカテゴリーの客室についてです。「比較的」といっても、一般的な高級旅館のスイートルームに匹敵、あるいはそれ以上の設備を備えているのが竹ふえの凄みです。このカテゴリーには、「笹響(Sasane)」「水音(Mizuoto)」といった客室が含まれます。
これらの部屋の値段は、平日やオフシーズンであれば、1名あたり5万円台から6万円台程度が相場となります。土日祝日や繁忙期にはさらに価格が上昇しますが、竹ふえのエッセンスを十分に味わえるエントリーモデルとして人気があります。例えば「笹響」は、囲炉裏のある和室と内風呂、そしてウッドデッキに備えられた露天風呂が特徴です。スタンダードといっても、部屋の広さは十分にあり、二人で過ごすには贅沢すぎるほどの空間が確保されています。
内装にはふんだんに天然素材が使われ、黒を基調としたシックで落ち着いたデザインが、窓の外の竹林の緑を鮮やかに引き立てます。このランクの部屋であっても、部屋付きの露天風呂は源泉掛け流しであり、いつでも好きな時に新鮮な湯を堪能できます。値段を抑えつつも、竹ふえ特有の静寂とプライベート感を重視したいカップルや夫婦にとって、非常に満足度の高い選択肢となるでしょう。また、食事の内容や共用施設の利用権限に関しては、上位ランクの部屋と基本的に変わらないため、コストパフォーマンスという観点では最も優れていると言えるかもしれません。
露天風呂の大きさが規格外となる特別室の料金設定と魅力
次に紹介するのは、竹ふえの真骨頂とも言える「特別室」のカテゴリーです。「紫炎庵(Shienan)」「別邸 笹音(Bettei Sasane)」「雄町(Omachi)」などがこれに該当します。このクラスになると、部屋の広さが格段に広くなるだけでなく、付帯する露天風呂のスケールが常識外れになってきます。
特別室の値段は、1名あたり7万円台から9万円台、時期によっては10万円近くになることもあります。この価格帯の部屋の最大の特徴は、何と言っても「部屋風呂」の豪華さです。例えば「雄町」には、大人数人が余裕で入れるほどの巨大な岩露天風呂があり、さらには足湯や寝湯まで備わっています。もはや「部屋に風呂がついている」というレベルではなく、「専用の温泉施設に部屋がついている」と表現した方が近いかもしれません。
また、部屋の設備もさらに充実します。広々とした和室に加えて、掘りごたつ式のサロンや、竹林を望む月見台、専用の食事処などが設けられている部屋もあります。特に「紫炎庵」などは、メゾネットタイプや離れの中でもさらに独立性が高い構造になっており、他の宿泊客の気配を全く感じることなく過ごすことができます。このクラスの値段を支払うことで得られるのは、圧倒的な「非日常感」と「独占欲」の充足です。誰にも邪魔されず、広大な湯船を独り占めにする時間は、何物にも代えがたい贅沢と言えるでしょう。自分へのご褒美や、結婚記念日などの特別な節目において、記憶に残る滞在を約束してくれるグレードです。
圧倒的な広さを誇る最上級スイート古久庵と小夜の宿泊費
そして、竹ふえにおける最上級の客室、それが「古久庵(Kokuan)」と「小夜(Sayo)」です。これらは単なる客室ではなく、王族やVIPをもてなす迎賓館のような存在です。その値段は、1名あたり10万円を軽く超え、繁忙期には15万円前後に達することもあります。一泊で数十万円という出費になりますが、その中身を知れば、決して法外ではないと感じるかもしれません。
「古久庵」は、竹ふえの中で最も広い客室であり、その広さは敷地を含めると数百坪にも及びます。特筆すべきは、部屋専用の露天風呂のサイズです。長さが5メートルにも及ぶ巨大な湯船があり、まるでプールのような開放感があります。さらに、室内には囲炉裏の間、ダイニング、寝室に加え、専用のシアタールームまで完備されています。オーディオ機器やプロジェクターも最高級のものが揃えられており、一歩も部屋から出ることなく、極上のエンターテインメントを楽しむことができます。
一方「小夜」は、洞窟風呂のような神秘的な雰囲気を持つ露天風呂が特徴です。こちらも古久庵に引けを取らない広さと設備を誇り、竹林の奥深くに抱かれたような静謐な時間を過ごせます。このクラスの宿泊費には、単なる場所代だけでなく、専属の仲居によるきめ細やかなサービス料も含まれていると考えられます。食事の際も、他の客室とは異なる特別な演出や器が用意されることがあり、まさに「至れり尽くせり」の極致を体験できます。予約を取ること自体がステータスとなる、日本最高峰のラグジュアリー空間です。
シーズンや曜日による料金変動の仕組みと狙い目の時期
竹ふえの値段は、年間を通じて一定ではありません。多くの宿泊施設と同様に、シーズンや曜日によってダイナミックに変動します。この変動パターンを理解しておくことは、賢く予約するための重要なポイントです。
最も値段が高騰するのは、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始といった大型連休です。この時期は通常料金に数万円が上乗せされることが一般的であり、それでも数ヶ月前、あるいは半年前から予約が埋まってしまいます。また、紅葉の美しい秋や、雪見風呂が楽しめる冬の週末も人気のシーズンであり、高めの価格設定となります。
逆に、狙い目となるのは、大型連休明けの平日や、6月の梅雨時期、あるいは1月中旬以降の平日などです。これらの時期は比較的予約が取りやすく、値段もベースの料金に近い設定で泊まれる可能性が高くなります。ただし、竹ふえのような超人気宿の場合、「閑散期」といっても大幅な値下げが行われることは稀です。ブランド価値を維持するため、安売り競争には参加しない姿勢を貫いています。それでも、少しでもお得に泊まりたいのであれば、公式サイトのカレンダーをこまめにチェックし、平日プランや直前キャンセルが出た際の枠を狙うのが賢明です。また、公式サイトからの予約には独自の特典(貸切風呂の優先予約や館内利用券など)が付く場合があるため、旅行代理店サイトのポイント還元と比較して、どちらが実質的な値段として有利かを見極めることも大切です。
竹ふえの値段は高いだけではない?宿泊費に含まれる驚愕のサービスと食事の価値
一泊10万円前後という値段だけを見ると、「高すぎる」と感じるのが普通の感覚です。しかし、実際に宿泊した人々の口コミを見ると、「値段以上の価値がある」「コスパが良いとさえ感じる」という声が少なくありません。その理由は、宿泊費に含まれているサービス、いわゆる「インクルーシブ」な要素が極めて充実している点にあります。追加料金を気にすることなく楽しめる、竹ふえならではのおもてなしの数々を詳しく見ていきましょう。
夕食・朝食のクオリティと食材原価から見るコストパフォーマンス
旅館の値段の大部分を占めるのは、やはり食事です。竹ふえの夕食は、地元の旬の食材をふんだんに使用した創作懐石料理です。特筆すべきは、その演出の豪華さと食材の質です。熊本名産の「馬刺し」や最高級黒毛和牛の「王様ステーキ」、伊勢海老やアワビといった高級海鮮が惜しげもなく並びます。
料理が運ばれてくる器にも注目です。竹ふえでは、料理を盛る器の多くが、館内の工房で職人が手作りした「竹の器」を使用しています。青竹の鮮やかな色合いと香りが、料理の美しさを一層引き立てます。氷を敷き詰めた巨大な桶に盛られた刺身や、竹筒の中で温められたスープなど、視覚的なサプライズも満載です。これらの料理は、一般的な旅館であれば追加注文となるようなレベルの食材が、基本プランに含まれていることが多いのです。
朝食に関しても、土釜で炊かれたご飯を中心に、数十種類のおかずが並ぶ豪華な和定食が提供されます。自家製の豆腐や、炭火で炙る干物など、朝から手の込んだ料理を堪能できます。部屋食または個室の食事処で提供されるため、周囲を気にせずゆっくりと味わえるのも魅力です。こうした食事のクオリティとボリュームを考えると、外の高級料亭で同等のものを食べた場合の金額を差し引けば、宿泊費の実質的な負担感は大きく下がると言えるでしょう。食事目当てで訪れるリピーターが多いのも頷ける内容です。
客室内のフリードリンクや高級アメニティの充実度
竹ふえの「値段の秘密」は、客室内の冷蔵庫にも隠されています。通常の旅館では、冷蔵庫の飲み物は有料で、しかも割高な設定になっていることが一般的です。しかし、竹ふえでは客室冷蔵庫内のドリンクがすべて無料(フリードリンク)となっているのが基本です(プランや部屋タイプにより一部異なる場合もありますが、多くの場合ビールやソフトドリンク、水などが飲み放題です)。
さらに驚くべきは、室内に設置された石臼挽きのコーヒーセットや、ネスプレッソマシンなどのカフェ設備です。豆から挽いて淹れるコーヒーの香りを楽しみながら、竹林を眺める時間は格別です。また、部屋にはウェルカムフルーツやスイーツなども用意されており、滞在中の飲食に関しては、ほとんど財布を開く必要がありません。
アメニティに関しても、世界的な高級ブランドであるロクシタンやエルメスなどが採用されており、これらは持ち帰りが可能なケースも多いです。さらに、竹ふえオリジナルの竹製品(箸やタオル、巾着袋など)もプレゼントとして持ち帰ることができる場合があります。女性客にとっては、豊富な種類の浴衣選びや、高品質なスキンケアセットの完備も嬉しいポイントです。これらの「消耗品」や「お土産」にかかるコストを積み上げていくと、宿泊費に含まれる還元の割合が非常に高いことが分かります。単に泊まるだけでなく、たくさんの「モノ」と「体験」を持ち帰ることができる、それが竹ふえの流儀です。
巨大な貸切露天風呂の無料利用と竹林庭園での無料サービス
竹ふえの敷地内には、各部屋の風呂とは別に、宿泊者が利用できる貸切露天風呂が存在します。「竹城の間(Chikujo no ma)」「奥の湯(Okunoyu)」「笹舟の湯(Sasabune)」などがあり、これらもまた規格外のスケールです。特に「竹城の間」は、まるで城郭のような石垣と竹垣に囲まれた広大な露天風呂で、数十人が一度に入れるほどの広さがあります。
通常、これほどの規模の貸切風呂を利用する場合、一回数千円の追加料金が発生してもおかしくありません。しかし、竹ふえではこれらの貸切風呂も(プランや予約状況によりますが)基本的に無料で利用できるシステムになっています。予約制でプライベートな時間を確保でき、広大な温泉を独占する贅沢を味わえます。お風呂上がりには、休憩スペースに用意された無料のアイスクリームやラムネ、牛乳などを自由に楽しむことができます。
さらに、広大な敷地内を散策する際にも、いたるところに無料のおもてなしが用意されています。竹林の中にある「ガーデン」では、冷やされたラムネやビール、コーヒーなどが自由に飲めるスポットが点在しています。夜には竹林がライトアップされ、幻想的な雰囲気の中で行われる音楽の演奏会(不定期開催)などを楽しめることもあります。これらのエンターテインメントやサービスがすべて宿泊費に含まれている「オールインクルーシブ的なスタイル」こそが、竹ふえの値段に対する納得感を生み出している最大の要因です。チェックインからチェックアウトまで、至る所で「どうぞ」と振る舞われる気前の良さが、ゲストの心を掴んで離さないのです。
竹ふえの値段についてのまとめ
竹ふえは確かに高額な旅館ですが、その金額は「宿泊」という行為への対価だけでなく、そこで過ごす「時間」と「体験」のすべてに対する対価であることが分かりました。部屋の豪華さ、食事の質、そして驚くべきサービスの数々を分解して考えれば、その値段設定は決して不合理なものではなく、むしろ高い満足度を約束するための適正価格と言えるでしょう。
竹ふえの値段とサービス内容の総括
今回は竹ふえの値段についてお伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。
・竹ふえの宿泊料金は客室のグレードによって1名5万円台から15万円程度まで幅がある
・スタンダードな客室でも十分な広さと源泉掛け流しの部屋付き露天風呂を完備している
・特別室クラスになると露天風呂が巨大化し足湯や寝湯なども備えた専用温泉施設となる
・最上級室の古久庵や小夜は数百坪の広さと5メートル級の露天風呂を持つ別格の存在である
・ゴールデンウィークや年末年始は料金が高騰するため狙い目は平日や梅雨時期である
・宿泊費には豪華な創作懐石料理が含まれ高級食材や竹の器による演出が楽しめる
・客室内の冷蔵庫は基本的にフリードリンクでビールやソフトドリンクが飲み放題である
・石臼挽きコーヒーや高級ブランドのアメニティなど備品一つひとつが高品質である
・敷地内にある巨大な貸切露天風呂も無料で利用できプライベートな温泉巡りが可能である
・湯上がり処や庭園には無料のアイスクリームやラムネなどが至る所に用意されている
・竹林のライトアップや演奏会など敷地全体がエンターテインメント空間になっている
・高額な料金設定だが追加料金がほとんど発生しないため最終的な支払額は明確である
・圧倒的な非日常感とプライバシーの確保が値段以上の満足度を生み出しリピーターが多い
・予約は非常に困難であるため半年以上前からの計画的な予約が必要となる
熊本の奥地に佇む「竹ふえ」は、単に体を休めるだけの宿ではなく、五感すべてを使って楽しむ極上のエンターテインメントリゾートです。その値段には、日常では決して味わえない驚きと感動、そして心からのおもてなしが込められています。一生に一度の記念日や、大切な人への贈り物として、奮発してでも訪れる価値のある場所と言えるでしょう。

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