夏の風物詩といえば、冷たい水と一緒に麺が流れてくる「流しそうめん」です。家族や友人と集まり、竹を組んで作ったスライダーでそうめんを食べる体験は、暑い季節の特別な思い出となります。しかし、いざ自宅や地域のイベントで流しそうめんを行おうとした際、最も大きな壁となるのが「竹の調達」です。かつては近隣の裏山などで譲り受けることもありましたが、現代の都市部ではそのような機会は稀であり、ホームセンターでの購入を検討する人が増えています。中でも、豊富な品揃えとDIY用品で知られる「カインズ」は、流しそうめんの材料探しの場として有力な候補です。果たしてカインズでは本物の竹を入手することができるのでしょうか。あるいは、竹に代わる便利な資材があるのでしょうか。本記事では、カインズで揃う材料を用いた流しそうめんの実現可能性について、本物の竹の取り扱い事情から、雨どいなどの代用品を使った本格的なDIY手法までを幅広く調査しました。
カインズで流しそうめん用の天然竹は入手可能？売り場事情と代替素材の検証
流しそうめんを行うにあたり、多くの人がまず思い描くのは、青々とした太い天然の竹を縦に割って作る伝統的なスタイルです。ホームセンター最大手の一つであるカインズに足を運べば、こうした天然竹が手に入るのではないかと期待する声は少なくありません。ここでは、カインズにおける竹材の取り扱い状況と、流しそうめんに適した素材かどうかの検証、そして天然素材以外の選択肢について詳しく解説します。
ホームセンターにおける天然青竹の取り扱いと鮮度の課題
結論から述べると、カインズを含む一般的なホームセンターで、流しそうめんにそのまま使えるような「太くて青い、生の天然竹（青竹）」が常時販売されているケースは極めて稀です。これには明確な流通上の理由があります。青竹は伐採直後から急速に乾燥が進み、色が褐色に変化してしまうだけでなく、水分を多く含んでいるためカビが発生しやすいという性質を持っています。商品として棚に並べておくには鮮度管理が非常に難しく、在庫ロスが出るリスクが高いため、一般的な店舗では取り扱いを避ける傾向にあります。
カインズの園芸コーナーや資材館で見かける竹は、主に「女竹（めだけ）」や「晒し竹（さらしだけ）」と呼ばれる、乾燥加工済みの細い竹が中心です。これらは農業用支柱や垣根の材料として販売されており、直径が数センチ程度と細いものが大半です。流しそうめんの麺を流すためには、最低でも直径8センチから10センチ程度の太さが必要ですが、このサイズの加工済み天然竹は建材扱いとなり、非常に高価であるか、あるいは取り寄せ対応となることが一般的です。また、乾燥した竹は縦に割ろうとすると割れ目が不規則になりやすく、ささくれも出やすいため、食材を流す用途には衛生面や加工難易度の観点で不向きな側面があります。
人工竹（プラ竹）という選択肢とカインズでの入手性
天然の竹が入手困難である場合、次に候補となるのが樹脂で作られた「人工竹（プラ竹）」です。人工竹は腐食することがなく、カビの心配もないため、衛生的に繰り返し使用できるという大きなメリットがあります。見た目は青竹や煤竹（すすだけ）を模しており、遠目には本物と見分けがつかないほど精巧なものもあります。
カインズの園芸エクステリアコーナーでは、庭の装飾用として人工竹が販売されていることがあります。しかし、これらはあくまで「支柱」や「装飾」としての用途が主であり、筒状のまま販売されていることがほとんどです。流しそうめん用に使うためには、これを縦半分に切断する必要がありますが、硬質な樹脂製品を縦に真っ直ぐ切るには電動工具や専用のノコギリが必要となり、一般家庭でのDIYとしてはハードルが高くなります。また、建材としての人工竹は単価が高く、長いコースを作るとなると数万円単位の出費になることも珍しくありません。カインズで人工竹を購入することは可能ですが、流しそうめんのレーンとして加工・使用するには、コストと手間の両面で検討が必要です。
カインズでも買える「雨どい」が最強の代用品である理由
天然竹の入手難易度や衛生管理、人工竹の加工コストといった課題を一挙に解決するアイテムとして、近年主流となっているのが「雨どい（あまどい）」の活用です。雨どいは住宅の屋根から雨水を排水するための設備ですが、その形状はまさに半円状の筒であり、流しそうめんのレーンとして理想的なフォルムをしています。
カインズの資材館では、多種多様な雨どいが販売されています。素材は硬質塩化ビニル樹脂が一般的で、水に強く、軽量で、かつ安価です。食品衛生法上の観点から「新品を使用し、よく洗浄すること」が大前提となりますが、表面が滑らかであるため麺の滑りが良く、使用後の洗浄も簡単で衛生的です。また、ジョイントパーツ（継手）が豊富に揃っているため、接着剤を使用せずに差し込むだけで長いコースを簡単に連結・延長できる点も大きな魅力です。色はグレーや黒のほか、メーカーによっては「新茶（しんちゃ）」や「ミルクホワイト」といったカラーバリエーションがあり、特に茶色系の雨どいを選ぶことで、竹に近い雰囲気を演出することも可能です。実用性とコストパフォーマンスを考えた場合、カインズで流しそうめんの材料を揃えるなら、雨どいが最も現実的かつ推奨される選択肢となります。
季節限定の流しそうめん機コーナーの活用
DIYでコースを作るのではなく、手軽に楽しみたいという層に向けて、カインズでは夏季限定で「流しそうめん機」の特設コーナーが設けられることがあります。これらは卓上で完結するタイプが主流で、電池式で水が循環し、桶の中でそうめんが回るスタイルです。
近年では、タワー型で上から麺が滑り落ちてくるスライダータイプの商品も登場しており、竹を組む大掛かりな設営をしなくても、高低差のある流しそうめんを楽しめるようになっています。これらは「竹」というキーワードからは少し離れますが、カインズで完結する流しそうめんの準備としては最も手軽な方法です。プラスチック製で分解洗浄が可能、収納もコンパクトであるため、準備や片付けの手間を省きたい場合は、DIYコーナーではなく家電・季節用品コーナーをチェックするのが正解です。
カインズの資材で作るDIY流しそうめん！竹の代用「雨どい」設営術
天然竹の入手が難しい現状を踏まえ、カインズで誰でも手に入る「雨どい」をメイン素材とした、本格的な流しそうめんコースの作り方を深掘りします。単に雨どいを繋げるだけでなく、高さを出すための土台作りや、水を循環させる仕組みなど、カインズにある資材をフル活用した設営テクニックを紹介します。
レーンとなる雨どいの選び方と必要なパーツ
カインズの資材売り場に行くと、雨どいにはいくつかの規格があることに気づきます。流しそうめんに適しているのは、「半丸（はんまる）」と呼ばれる断面が半円形のタイプです。サイズは「100」や「105」といった表記がありますが、これは直径（mm）を表しています。流しそうめん用としては、直径100mm（10センチ）前後のものが、麺も水もしっかり流れるため最適です。あまり細すぎると、水が溢れたり麺が詰まったりする原因になります。
必要なパーツは以下の通りです。
- 軒樋（のきどい）：これがメインのレーンになります。通常、1本あたり1.8メートルや3.6メートルで販売されています。車の積載可能サイズに合わせて選びます。
- 軒継手（のきつぎて）：雨どい同士を連結するパーツです。コースを長くする場合に必要です。
- 止まり（とまり）：レーンの始点（水が出るところ）と終点（ザルを受けるところ）に装着し、水や麺が横からこぼれ落ちないようにする蓋のようなパーツです。
選ぶ際の色は、前述の通り「新茶」などのブラウン系を選ぶと、竹のような和の雰囲気に近づきます。パナソニック製やセキスイ製などメーカーによって色味や規格が異なるため、必ず同じメーカー、同じ規格で統一して購入することが重要です。
安定感抜群の「脚（スタンド）」を木材と結束バンドで作る
流しそうめんで最も苦労するのが、傾斜をつけるための「脚」の設置です。竹林であれば竹を交差させて麻紐で縛りますが、カインズの資材を使うなら、より安定的で簡単な方法があります。
おすすめは、園芸コーナーにある「木製杭（くい）」やDIYコーナーの「1×4（ワンバイフォー）材」または「2×4（ツーバイフォー）材」を活用する方法です。3本の木材を交差させ、上部を結束バンドやロープで縛ることで「三脚」を作ります。これをコースの長さに応じて複数個用意し、高さを変えて設置することで傾斜を生み出します。
カインズでは木材カットサービス（有料）を行っている店舗が多いため、長い木材を購入して持ち帰るのが困難な場合や、長さを揃えたい場合は利用すると便利です。また、もっと手軽に済ませたい場合は、園芸用の「支柱」を3本束ねて三脚を作る方法もあります。ただし、水と麺が流れる雨どいは意外と重量がかかるため、細い園芸支柱よりも、ある程度太さのある木材や、脚立などを活用したほうが安定性は高まります。雨どいと三脚の固定には、養生テープや結束バンドを使用します。ガムテープよりも養生テープの方が、剥がした後に糊が残りにくく、片付けが楽になります。
水流システムの構築と衛生管理のポイント
快適な流しそうめんには、適切な水量が欠かせません。水道が近くにある庭などで実施する場合は、カインズの園芸コーナーにある「ホースリール」を最上流まで引っ張ってくるのが最も確実です。ホースの先端を固定するための「ホースクリップ」や、水量を調整できる「散水ノズル」があると便利です。
水道が近くにない場所や、水を循環させて節水したい場合は、バケツとポンプを組み合わせます。アウトドアコーナーやカー用品コーナーにある「電動シャワー」や、お風呂の残り湯を洗濯機に移すための「バスポンプ」が流用可能です。バケツに水を溜め、ポンプで汲み上げて上流に流し、下流でザルとバケツで水を受け止めるシステムを構築します。この場合、水がぬるくなりやすいため、氷を大量に用意する必要があります。カインズでは大型のクーラーボックスや保冷剤も販売されているため、これらも併せて準備すると良いでしょう。
衛生管理に関しては、新品の雨どいであっても、製造時の油分や埃が付着しているため、使用前には中性洗剤で徹底的に洗浄します。また、雨どいの切断面やプラスチックのバリで怪我をしないよう、紙やすり（サンドペーパー）で端を滑らかに処理しておくことも重要です。これらのメンテナンス用品もすべてカインズで揃えることができます。
エンターテインメント性を高める追加アイテム
基本のコースができたら、さらに流しそうめんを盛り上げるためのアイテムをカインズで探してみましょう。例えば、LEDライトや防水のイルミネーションライトを雨どいの側面に沿わせれば、夕暮れ時から夜にかけて「ナイト流しそうめん」を楽しむことができます。
また、そうめんだけでなく、プチトマトやブドウ、缶詰のフルーツなどを流すと子供たちが喜びます。これらをすくうための「穴あきお玉」や、取り皿としての紙コップ、割り箸などの消耗品も、カインズの日用品コーナーで大容量パックを安価に購入可能です。竹の雰囲気を少しでも出したい場合は、100円ショップコーナーや園芸コーナーにある「すだれ」や「よしず」を脚の部分に巻き付けたり、テーブルクロスとして敷いたりすることで、プラスチックの無機質さを隠し、涼しげな演出を加えることができます。DIYの自由度が高いからこそ、カインズの豊富な品揃えを活かして、オリジナリティあふれる会場作りを楽しむことができます。
カインズで揃える流しそうめんグッズと竹の扱いに関するまとめ
流しそうめん 竹 カインズについてのまとめ
今回はカインズを活用した流しそうめんの準備についてお伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。
・カインズ等のホームセンターでは鮮度管理の観点から生の天然青竹はほぼ販売されていない
・園芸用の乾燥竹は存在するが細くて割れやすく衛生面でも流しそうめんのレーンには不向きである
・人工竹は衛生的だが硬質で縦割りの加工が難しくコストも高額になるためDIYにはハードルが高い
・カインズの資材館で入手可能な雨どいが流しそうめんの竹の代用品として最も優秀で推奨される
・雨どいは半丸の形状が最適であり直径10センチ程度のサイズを選ぶと麺も水もスムーズに流れる
・色は新茶などのブラウン系を選ぶことで竹の雰囲気に近づけることができ景観を損なわない
・連結パーツを使えば接着剤なしで簡単にコースを延長でき使用後の分解や洗浄も容易である
・コースの傾斜を作る脚部分は園芸用の木製杭や2×4材を結束バンドで組むことで安価に作れる
・カインズの木材カットサービスを利用すれば持ち運びやすく組み立てやすい長さに調整可能だ
・水源確保には園芸用のホースリールやバスポンプを活用することで場所を選ばず設置できる
・新品の雨どいを使用する際は製造時の油分や汚れを中性洗剤で完全に洗い流すことが必須である
・切断面のバリは怪我の原因となるため紙やすり等で滑らかに処理する安全対策が重要だ
・家電コーナーには卓上タイプの流しそうめん機もあり設営の手間を省きたい場合に有効である
・イルミネーションやすだれ等の演出アイテムもカインズで揃いオリジナリティを出せる
・雨どいや木材などの資材を活用することで都会でも衛生的かつ本格的な流しそうめんが実現する
流しそうめんは、必ずしも本物の竹を使わなければならないというルールはありません。カインズのようなホームセンターで手に入る現代の資材をうまく活用することで、衛生的で、準備や片付けも簡単な新しい形の流しそうめんを楽しむことができます。この夏はぜひ、自由な発想とDIY精神で、オリジナルの流しそうめんコース作りに挑戦してみてはいかがてしょうか。
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