日本古来の素材であり、その清涼感あふれる見た目と強靭な耐久性から、建築資材や工芸品、日用品に至るまで多岐にわたり活用されてきた竹。近年ではDIYブームの到来や、持続可能な自然素材への関心の高まりを受け、ガーデニングやインテリアに竹を取り入れたいと考える人が増えています。中でも、存在感のある「太い竹」は、流しそうめんの台や花器、和風の柵（竹垣）、あるいは部屋の間仕切りなど、ダイナミックな用途で重宝される素材です。しかし、いざ太い竹を入手しようと思い立ったとき、どこへ行けば手に入るのか迷うことも少なくありません。身近なホームセンターで手軽に購入できれば便利ですが、店舗によって取り扱いの有無や種類は大きく異なります。また、竹という素材特有の性質を知らずに購入すると、すぐに割れてしまったり虫がついたりして失敗するリスクもあります。本記事では、ホームセンターで購入できる太い竹について、その種類や売り場の特徴、選び方のポイント、そして購入後の加工やメンテナンスに至るまでを網羅的に調査し、解説していきます。
太い竹はホームセンターのどこで売っているのか？売り場や種類を徹底解説
ホームセンターは、日用品から建築資材まであらゆるものが揃う場所ですが、太い竹のような特殊な資材は、店舗の規模やコンセプトによって扱いが大きく異なります。園芸用の細い支柱はどこの店舗でも見かけますが、直径が10センチメートルを超えるような太い竹となると、探す場所を間違えれば徒労に終わってしまいます。ここでは、ホームセンター内のどのエリアを探すべきか、どのような種類の竹が販売されているのかについて、詳細に紐解いていきます。
園芸コーナーと資材館での取り扱いの違いについて
ホームセンターで竹を探す際、最初に足が向くのは「園芸コーナー」でしょう。確かに園芸コーナーには多くの竹製品が並んでいます。しかし、ここで主流となっているのは、植物の添え木や支柱として使われる「女竹（メダケ）」や「篠竹（シノダケ）」といった細い種類の天然竹、あるいは緑色の樹脂でコーティングされた鋼管支柱（イボ竹）です。これらは野菜や花の栽培を目的としているため、直径は太くても2センチメートルから3センチメートル程度であることが一般的です。流しそうめんや大掛かりな工作に使えるような、大人の腕ほどの太さがある竹は、通常の園芸コーナーには置かれていないケースが大半です。
太い竹を探す場合に注目すべきは、木材や建築資材を専門に扱う「資材館」や「木材売り場」と呼ばれるエリアです。特に、プロの職人も利用するような大型ホームセンターの資材館では、角材や板材と並んで、加工用の竹材がストックされていることがあります。ここでは、園芸用とは異なり、建材や内装材、あるいは工芸用の素材として竹が扱われています。屋外の雨ざらしの売り場ではなく、屋内の木材コーナーの奥や、銘木（めいぼく）コーナーの一角に立てかけられていることが多いので、注意深く探す必要があります。また、資材館では天然の竹だけでなく、人工的に作られた竹垣用の部材なども扱われており、用途に応じた選択肢が広がっています。
販売されている天然竹の種類とそれぞれの特徴
ホームセンターの資材館などで取り扱われている太い天然竹には、主にいくつかの種類があります。それぞれの特性を理解しておくことで、用途に最適な竹を選ぶことができます。
まず、太い竹の代表格といえるのが「孟宗竹（モウソウチク）」です。日本の竹の中で最も大きく成長する種類であり、直径が10センチメートルから15センチメートル、場合によってはそれ以上になるものもあります。肉厚で繊維が太く、頑丈であるため、花器や竹灯籠、あるいは建物の構造材の一部としても利用されます。ホームセンターで「太い竹」として販売されているものの多くはこの孟宗竹です。
次に、「真竹（マダケ）」もよく見られる種類です。孟宗竹に比べるとやや細身ですが、それでも直径5センチメートルから10センチメートル程度のものが流通しています。真竹の特徴は、節と節の間隔が長く、材質が緻密で弾力性に富んでいることです。そのため、竹細工や編み込み細工、あるいは釣り竿などの材料として適しています。孟宗竹よりも肉が薄いため、加工がしやすく、繊細な作品作りにはこちらが選ばれることが多いです。
また、竹の状態による分類として「青竹」と「晒竹（さらしだけ・白竹）」の違いも知っておく必要があります。青竹は伐採したままの緑色の状態の竹で、瑞々しい美しさがありますが、時間の経過とともに水分が抜けて茶色く変色し、収縮による割れが生じやすいという欠点があります。一方、晒竹は、青竹を熱湯で煮沸して油抜きを行い、天日で乾燥させたものです。表面は象牙色のようなクリーム色をしており、青竹に比べて変色や腐敗がしにくく、耐久性が高いのが特徴です。ホームセンターの資材売り場では、この晒竹が加工用素材として販売されているケースが多く見られます。インテリアとして長く楽しみたい場合は、青竹よりも晒竹を選ぶ方が賢明です。
樹脂製や鋼管製の人工竹という選択肢とそのメリット
天然の竹は風合いが素晴らしい反面、屋外で使用すると紫外線や雨による腐食、虫害、ひび割れといった経年劣化が避けられません。そこで、ホームセンターでは天然竹の代用品として「人工竹」の取り扱いを強化している店舗も増えています。
人工竹には大きく分けて、塩化ビニル樹脂（PVC）などで作られたプラスチック竹と、アルミや鋼管の表面に竹の模様をプリントまたはコーティングした金属系人工竹があります。これらは「プラ竹」「エコ竹」などの名称で呼ばれ、エクステリアコーナーやフェンス売り場で見つけることができます。人工竹の最大のメリットは、圧倒的な耐久性とメンテナンスフリー性です。腐ることがなく、色あせもしにくいため、一度設置すれば長期間にわたって美しい状態を保つことができます。
特に太い人工竹は、和風庭園の「筧（かけひ）」や「ししおどし」、あるいは目隠しフェンスの支柱として利用されます。見た目も、天然の青竹、晒竹、黒竹、煤竹（すすだけ）などを精巧に模したバリエーションが豊富に用意されており、遠目には本物と見分けがつかないほどのクオリティを持つ製品もあります。流しそうめん用としても、衛生面での管理がしやすく、ささくれで怪我をする心配がない人工竹の半円パイプが「人工竹とい」として販売されていることがあります。天然素材へのこだわりがなければ、実用性と耐久性を重視して人工竹を選ぶのも賢い選択肢の一つです。
店舗の規模や地域による在庫状況の傾向
ホームセンターならどこでも太い竹が手に入るわけではありません。店舗の規模や立地条件によって、在庫状況には明確な傾向があります。
まず、都市部の小型店舗やショッピングモール内のホームセンターでは、売り場面積の制約や需要の少なさから、太い竹を常時在庫している可能性は極めて低いです。こうした店舗では、取り寄せ対応になることが一般的です。一方、郊外にある「スーパービバホーム」「ジョイフル本田」「カインズ」などの超大型店や、プロの職人が資材調達に訪れる「コーナンPRO」「ロイヤルプロ」などの業態では、太い孟宗竹や長尺の晒竹が常時ストックされている確率が高くなります。
また、地域性も大きく影響します。竹林が多い地域や、農業・造園業が盛んな地域のホームセンターでは、地元の需要に合わせて竹材のラインナップが充実している傾向があります。さらに、季節による変動もあります。例えば、七夕の時期（6月から7月上旬）やお盆の時期には、イベント用として青竹の特設コーナーが設けられることが多く、普段は取り扱いのない店舗でも太い竹が入荷することがあります。夏場の流しそうめんシーズンに合わせて、半割りに加工された竹が入荷することもあります。確実に手に入れたい場合は、事前に店舗のサービスカウンターへ電話で問い合わせるか、各ホームセンターのオンラインストアで店舗在庫を確認してから出向くことが推奨されます。
ホームセンターで太い竹を購入する際の選び方と加工や持ち帰りの注意点
念願の太い竹をホームセンターで見つけたとしても、そこからが本番です。竹は木材とは異なる独特の性質を持つ天然素材であり、選び方や扱い方を間違えると、すぐに使い物にならなくなってしまいます。また、長さがある竹材は持ち帰りにも工夫が必要です。ここでは、購入時にチェックすべきポイントや、自宅での加工、保管方法について具体的に解説します。
用途に合わせた適切な太さと長さの選び方ガイド
太い竹を購入する際は、具体的な用途に合わせて適切なサイズを選ぶことが重要です。単に「太いものが欲しい」という漠然としたイメージだけで選ぶと、加工の段階で苦労することになります。
例えば、花器やペン立て、キャンドルホルダーなどを作る場合、直径が10センチメートルから12センチメートル程度の孟宗竹が適しています。このサイズであれば、内側の空洞部分に十分なスペースがあり、安定感も確保できます。一方、流しそうめんの台として使う場合は、直径が8センチメートルから10センチメートル程度のものが扱いやすいでしょう。あまりに太すぎると水流が拡散してしまい、細すぎると麺が流れにくくなります。また、竹垣などの構造物を作る場合は、柱となる部分には太い孟宗竹を、横に渡す部分には少し細めの真竹を使うなど、適材適所で使い分けることで全体のバランスと強度が保たれます。
長さについては、必要な長さよりも少し長めのものを選ぶのが鉄則です。竹には「節」があり、加工する際にはこの節の位置が重要になります。例えば、節を底にして容器を作る場合、節のすぐ下でカットする必要があります。ギリギリの長さで購入してしまうと、節の位置が合わずに無駄な部分が出てしまい、寸足らずになるリスクがあります。また、竹の先端側（ウラ）と根元側（モト）では太さが異なるため、長尺物を使う場合はテーパー（先細り）具合も確認して選ぶ必要があります。
割れや虫食いを防ぐためのチェックポイントと保存処理
天然の竹を購入する際、最も注意深くチェックすべきなのが「ひび割れ」と「虫食い」です。ホームセンターの売り場に並んでいる時点で、すでに小さな亀裂が入っているものや、虫が潜んでいるものがあるかもしれません。
まず、竹の表面をくまなく目視し、縦方向に細い線のような亀裂が入っていないか確認します。竹は繊維が縦に走っているため、一度亀裂が入ると乾燥に伴って一気に裂けてしまいます。特に切り口（木口）の部分は割れが始まりやすいので、よく観察しましょう。次に、小さな丸い穴が開いていないか、竹の下に白い粉が落ちていないかをチェックします。これは「チビタケナガシンクイムシ」などの害虫が内部を食い荒らしている証拠です。粉が出ている竹は、内部がスカスカになっている可能性が高いため、絶対に避けるべきです。
購入後の保存処理も重要です。もし青竹を購入した場合、そのまま乾燥させると収縮して割れる可能性が高いです。これを防ぐための伝統的な技法として「背割り」があります。竹の裏側にあたる部分に、あらかじめ縦に一本の切れ込みを入れておくことで、竹全体が収縮した際にその切れ込みが開いて歪みを吸収し、他の部分が無秩序に割れるのを防ぎます。また、防虫防腐剤や柿渋などを塗布することで、耐久性を高めることができます。ホームセンターの塗料売り場には、木材用の防腐剤がありますが、竹にも使用可能な浸透タイプの塗料を選ぶと良いでしょう。
購入後のカットサービスや配送手段の活用方法
太い竹は非常に硬く、繊維が強靭であるため、家庭用の一般的なノコギリで切断するのは大変な重労働です。また、普通のノコギリを使うと、切り口の繊維がささくれてしまい、綺麗な断面にならないことが多いです。そこで活用したいのが、ホームセンターの「木材カットサービス」です。
ただし、全てのホームセンターで竹のカットを受け付けているわけではありません。竹は中空で割れやすいため、機械でカットする際に破損するリスクがあり、店舗によっては「竹のカットはお断り」としている場合もあります。カットが可能かどうかは、必ず事前に店員に確認しましょう。もし自分でカットする場合は、工具売り場で「竹挽き鋸（たけびきのこ）」や「竹用ノコギリ」を購入することを強くお勧めします。これらは刃の目が細かく、鋭く設計されており、竹の硬い繊維をスパッと切断することができます。また、切断箇所にガムテープやマスキングテープを巻いてからその上をカットすることで、ささくれや割れを防止するテクニックも有効です。
持ち帰りについても注意が必要です。太い竹は長さが2メートルから4メートルになることも珍しくありません。一般的な乗用車には積載できない場合があります。多くのホームセンターでは、長尺物を運搬するための「軽トラック貸出サービス（60分から90分程度）」を行っています。また、有料の配送サービスを利用すれば、自宅の玄関先まで届けてもらうことも可能です。無理に自家用車に積み込んで運転を妨げたり、窓から突き出した状態で走行したりするのは道路交通法違反になる危険性があるため、適切な運搬手段を選択しましょう。
太い竹をホームセンターで探す際のポイントと活用に関するまとめ
ホームセンターで太い竹を探すことは、単なる材料調達以上の意味を持ちます。それは、自然素材の個性と向き合い、自分の作りたいもののイメージを具体化する創造的なプロセスの一部です。竹という素材は、プラスチックや金属にはない温かみと清涼感、そして「和」の美意識を空間にもたらしてくれます。適切な知識を持って選び、正しく加工することで、太い竹はその存在感を遺憾なく発揮し、長く愛用できる素晴らしい作品へと生まれ変わるでしょう。
太い竹とホームセンターの活用についてのまとめ
今回は太い竹のホームセンターでの購入や活用についてお伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。
・太い竹は一般的な園芸コーナーではなく資材館や木材売り場で扱われていることが多い
・直径10センチメートルを超える孟宗竹は花器や工芸品などダイナミックな用途に適している
・真竹は孟宗竹よりやや細身だが弾力性に富み竹細工や精巧な加工に向いている
・青竹は瑞々しいが乾燥による変色や割れが起きやすく晒竹は油抜き済みで耐久性が高い
・屋外での耐久性を重視する場合は樹脂製やアルミ製の人工竹を選ぶのも賢い選択肢である
・太い竹の在庫は大型のホームセンターやプロショップに集中し都市部では取り寄せが多い
・七夕やお盆などの季節イベントに合わせて特設コーナーで青竹が販売されることがある
・用途に合わせて適切な太さを選び長さは節の位置を考慮して余裕のあるサイズを購入する
・購入時は縦方向のひび割れや虫食いの穴がないかを入念にチェックする必要がある
・青竹の割れを防ぐためには背割りなどの加工や防腐剤の塗布といった処理が有効である
・竹の切断は専用の竹挽き鋸を使用するか店舗のカットサービスが可能か確認すると良い
・長尺の竹を持ち帰る際は店舗の軽トラック貸出サービスや配送サービスを活用すべきである
・流しそうめん用には半割りに加工された竹や衛生的な人工竹といが販売されていることもある
・竹は自然素材であるため一本ごとに色や形が異なりその個性を活かすことがDIYの醍醐味だ
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